利休にたずねよ

利休にたずねよ

利休にたずねよ 山本兼一 ***

飛び抜けた美的センスを持ち、刀の抜き身のごとき鋭さを感じさせる若者が恋に落ちた。
堺の魚屋の息子・千与四郎――。後に茶の湯を大成した男・千利休である。
女のものと思われる緑釉の香合を
肌身離さず持つ利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、
気に入られ、天下一の茶頭に昇り詰めていく。利休は一茶人にとどまらず、
秀吉の参謀としてその力を如何なく発揮。秀吉の天下取りを強力に後押しした。
しかし、その鋭さゆえに、やがて対立。
秀吉に嫌われ、切腹を命ぜられる。

本書は、利休好みの水指を見て、そのふくよかさに驚き、侘び茶人という
一般的解釈に疑問を感じた著者が、利休の研ぎ澄まされた感性、色艶のある世界を
生み出した背景に何があったのかに迫った長編歴史小説である。

雰囲気は好きだし、茶道を習っているからこそ細部もわかる。武将たちや利休のお点前や茶会の道具の取り合わせをありありと想像できるのも楽しいし。
でもやっぱり、利休様と恋の取り合わせはいけません。
願わくば、茶聖利休として、色即是空であってほしい。
まあ、奥さんや後妻がいたのは史実だし、こういう色っぽいこともないとはいえないだろうけれども。
漫画の「へうげもの」の強欲な利休の方がまだ許せたなあ。
ロマンチックですけどね。。。
あと、ラストが許せん!いかにも男が書く、バカ女がやりそうなことなので、余計に腹がたった。利休の妻の行動なのに、利休の存在意義がなくなるほどの愚行ですよ。
読み終わって呆然。信じられなかった。