三月作者: 大島真寿美出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る三月 ＊＊＊＊ 20年ぶりに明らかになる事実。6人が抱えてきたそれぞれの思いとは―― 「彼は、自殺なんかじゃない」短大を卒業してから約20…

《なにしろ、京都は怨霊のメッカだから、と新田義雄は言うのだ》――あたしの同僚の新田は霊能者らしい。信長の怨霊とふたりの絶叫がこだまする「信長、よーじや、阿闍梨餅」。 技巧をこらしたヴァラエティ豊かな傑作が21篇――贅沢で楽しい短篇小説集。

《たぬきのつがいと鶴が三羽、くだをまきながらビールを飲んでいる。キッチンでは地球外生物らしき浅葱色のぼやけた存在が、よごれものをていねいに洗っていた。》――わたしの誕生日のパーティにはいろんな人がやってきた。地球外生物も現われる「誕生日の夜…

《マルイさんは、僕の両のてのひらをあわせた上に乗っかってしまうくらい小さいけれど、れっきとした人間である。》――少年と〈小さい人〉の交流を描く「ミンミン」。

《そのお店はとても不思議なお店なのだと桐谷さんは言う。お店に入れるのは、恋の悩みを持つ人間だけ。悩みをうちあけると、店主が必ず解決してくれる。》――日常とファンタジーが入り混じる「まっさおな部屋」。

《結婚なんてさ、脳天がしびれる感じでばかになってなきゃ、できないことだよ。きちんと考え始めちゃったら、怖くてできないでしょ。》――優しくって顔も声もいい、清潔で趣味もいい。そんな言うことなしの恋人と別れた〈あたし〉の心の底を描いた「ホットコ…

《私の人生で、最大の悔恨。それは、息子がゲイになってしまった、ということなのである。》――川上ファンならおなじみの〈ゲイの修三くん〉の母が登場する「はにわ」。

《日本の人口が減りはじめたのは五十年ほど前のことだ。それまでにもすでに少子高齢化が進み、生殖可能な人口の絶対数が減ってしまっていたので、減りかたは急激だった。》 ――若い人が激減した近未来の日本を描くSF風味の「猫を拾いに」。

猫を拾いに作者: 川上弘美出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2013/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る猫を拾いに 川上弘美 ＊＊＊＊ 川上マジックがいっぱいの最新短篇集はたとえばこんな話が21篇も収められている。 《好きにな…

坂道の向こうにある海作者: 椰月美智子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/11/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る坂道の向こうにある海 ＊＊＊＊ 朝子と正人、卓也と梓は恋人同士。けれど少し前までは、朝子は卓也と、正人が梓と付き合…

アニバーサリー作者: 窪美澄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (22件) を見るアニバーサリー ＊＊＊ 子どもは育つ。こんな、終わりかけた世界でも。七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。家族愛か…