読書

わたしを離さないで

わたしを離さないで

わたしを離さないで カズオ・イシグロ  ****

>>>自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点>>>amazonより

信頼できる筋のネットでの評判が高かったので、いつかは読んでみなくてはと思っていた作品。素晴らしかった。星5つでもいいくらい。
翻訳モノはあんまり読まないのだけれども、この土屋政雄氏の訳は、わかりやすく、翻訳モノであるということを忘れるほどであった。
怖ろしいほど抑制が効いているからこそ、考えさせられる作品。
こういう綿密に計算された風通しのよい小説を読むと、日本の小説って押し付けがましく、湿度が高いなあと思ってしまう。わたしはそういうのが嫌いじゃないんだけど。
高校生にぜひ読んでもらいたい作品。国語の先生に勧めてみようと思った。