読書

海

海 小川洋子 ****
>>>キリンはどんなふうにして寝るんだろう-。『新潮』掲載の表題作ほか、「博士の愛した数式」の前後に書かれた、美しく奥行きの深い全7作品を収録する。この世界の素晴らしさを伝えてくれる短編集。 >>>amazonより

海/風薫るウィーンの旅六日間/バタフライ和文タイプ事務所/銀色のかぎ針/缶入りドロップ/ひよこトラック/ガイド

久々に小川洋子ワールドを堪能できた。美しくも醜い短編小説集。
小川さんは、漢字の使い方が素晴らしいなあ。突拍子もなく美しく、少しだけ暗く怖ろしい。秘密めいている。わくわくする。
表題作、「海」に出てくる、想像上の楽器「鳴鱗琴」には失われつつあるわたしのヲトメ心をくすぐられた。
なんといっても秀逸なのが、「バタフライ和文タイプ事務所」。上質なエロチシズムはユーモラスなものかもしれないと、小川さんがインタビューでおっしゃっていたが、まさにその通りだなあと思った。