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重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ  伊坂幸太郎 ***

>>>半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。>>>amazonより

「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ。」と、春はいう。それは確かにそうかもしれないとは思う。もっと尖がっていた若いころに読んだなら、その斬新さに圧倒されたのかもしれない。でも、現在のわたしとしては、諸手を挙げておもしろいと肯定はできない。
放火は犯罪だし、殺人も重罪だ。たとえどんな理由があったとしても、犯罪は犯罪だ。
そしてそれは、罰せられるべきものなのだ。
伊坂氏の特徴である軽妙な会話も、上滑りな、どこか本質から逃げているような感じがして、好きじゃない。
でも、まあ読んでよかったです。