「ルーガ」小池昌代ルーガ ***
<<<<幸福というものは、ああ、幸福だと思ったとたん、なにかほかのものに変容する…。女の心の奥の奥にある、言葉になりにくい美しいものを綴った小説集<<<<amazonより

ううむ。なんとも不思議な味わいの小説集だった。
ミシンにルーガという名前を付け、袋を作りまくる独身女性、カフカとピアノが好きな45歳の妊婦、片山山子。早朝海まで散歩する、若い男とくるぶしに痛みを持ち杖をついて歩く女。。風変わりな登場人物たちの日常のなかの一瞬を切り取る。
「幸福というのは、例えば退屈や不安や不幸という現実のあいまに明滅する奇蹟のような錯覚にすぎない。」(帯のことばをちょっと編集)
ああ、たしかにそうね。でもわたしはそういう考え方は好きではない。
奇蹟のような錯覚を現実として、日々を過ごせればそれでいいのではないかと思う。
それが、一瞬をじゅうぶんに生きることなのでは。。
幸福への怖れというか、そのものの不安定さがつたわる繊細な作品集だと思う。
小池昌代さんは詩集もだしていらっしゃるようです。