あかりの湖畔

あかりの湖畔

あかりの湖畔 青山七恵 ****

――大切な家族だからこそ、打ち明けられないことがある―― 山の上にある大きな湖、その畔をめぐる遊歩道の奥に、食堂と土産物屋を兼ねた「お休み処・風弓亭」がある。麓の温泉街で観光案内所に勤める父に代わり、店を任されているのは三姉妹の長女・灯子(とうこ)。次女・悠(ゆう)は恋人の就職を機に東京へ出て女優を目指し、高校生の三女・花映(はなえ)もまた将来は美容師になりたいと言う。26歳になった灯子だけが「天上の人」とからかわれながら、生まれ育った湖畔でいつまでも変わらぬ暮らしを望んでいた。かつて家を出ていった母親の不在を埋めるように、妹たちに言えない彼女だけの「秘密」を抱えて。ある日、外界から一人の青年・辰生がやってきて街に住み着く。妹二人は彼こそが灯子の「運命を変える」相手になるのではと噂しあうが……?