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- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/05/07
- メディア: 単行本
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歯痛に悩む植物園の園丁がある日、巣穴に落ちると、そこは異界だった。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、愛嬌のあるカエル小僧、漢籍を教える儒者、そしてアイルランドの治水神と大気都比売神……。人と動物が楽しく語りあい、植物が繁茂し、過去と現在が入り交じった世界で、私はゆっくり記憶を掘り起こしてゆく。怪しくものびやかな21世紀の異界譚。
おもしろかった。素敵だった。こういう品のある異界譚は大好き。
体側に勢いをつけて振り向く烏帽子をかぶった鯉や、仕立物屋の「お仕立物仕り候」の看板など登場人物(動物)や小道具がなかなか凝っている。家守奇譚も好きだったけど、こちらの方が面白みがあった。ラストも心温まる。