どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町 川上弘美 ****

捨てたものではなかったです、あたしの人生――。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ「平凡」な主婦とその姑、両親の不仲をじっとみつめる小学生、裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房……東京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人びとの、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。


登場人物が少しづつ重なる短編集。こういうの大好き。しかも川上さんだし。
お話ごとにさりげなく擦れ違う、一見平凡に見える人々の、意外な内面やそれぞれの事情に想像力をかきたてられる。わくわくする。
川上作品を読むといつも思うが、常識って何なのだろう。
何ごとにも束縛されない自由な心を持ちたいなあ。