猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子 ****

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの、ひそやかな奇跡を描き尽くした、せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説

博士の愛した数式を読んだときも思ったが、小川作品はときどき禅的だなあ。
小さいリトル・アリョーヒンは大きくなるのを拒むのだ。自分を失くして世界に合わせる。そこに無上の喜びを見出す。生まれながらの唇の不具合は、沈黙の美しさを物語る。
でも、唇に脛毛が・・という設定にはちょっとマイッタ。(笑)