アサッテの人

アサッテの人

アサッテの人 諏訪哲史 ****

「ポンパ!」 突如失踪してしまった叔父が発する奇声!
アパートに残された、叔父の荷物を引き取りに行った主人公は、そこで叔父の残した日記を見つける。
現代において小説を書く試みとは何なのか? その創作の根源にある問いに、自身の言葉を武器に格闘し、練り上げられていく言葉の運動。精緻にはり巡らされた構造と、小説としての言葉の手触りを同居させた、著者の大胆な試み。
読書家としても知られる各氏をうならせた、驚異の才能のデビュー作!


久々に芥川賞らしい作品と誰かが書いていたが、まさにそうかも。
アサッテの人である叔父さんの潔癖なこと、気の毒なほどです。さぞかし生きるのがつらかっただろうな。失踪直前の日記にある叔父さんのことばを読んで、思わず涙してしまいました。
作為って。そりゃ作為だよう。生きることに、ことばに、作為があったって大丈夫なのに。。
こんなに感情移入してしまうなんて、わたしも多分にアサッテ的なのかもしれない。と、思いました。ポンパはないけどね。小説の手法としてもおもしろかった。言葉とは、表現とは、何なのかを考えさせられる作品でした。