読書

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々  小川洋子 ****

もしあなたが世界からこぼれ落ちても、私が両手をのばして、受け止めよう―『博士の愛した数式』『ミーナの行進』の小川洋子が世界の片隅に灯りをともす、珠玉のナイン・ストーリーズ


The people who wander at the edge of the dawn/yoko ogawa
夜明けの縁(ふち)ってどこだろう。。なんて考える人にはむかない短編集。
「曲芸と野球」 曲芸師と野球選手のストイックな関係に胸打たれ・・
「教授宅の留守番」 お祝いの花々をかき分けつつ玄関に向かう気持ちを想像し・・
「イービーのかなわぬ望み」近隣のエレベーターのテスト塔へわたしなら連れて行ってあげられるのにと思い・・
「お探しの物件」極度の先端恐怖症とはおそろしいものだと妙に感情移入し・・
「涙売り」エロチシズムというのはこういうことかも。。と思い・・
「パラソルチョコレート」わたしの裏側がもしあったら。。と若干恐怖し・・
「ラ・ヴェール嬢」やはり上質なエロチシズムとユーモラスは親戚だ。。と思い・・
「銀山の狩猟小屋」サンバカツギの断末魔と扉のキノコをそぎ落とす音に心底恐怖し・・
「再試合」永久ということの恐ろしさを思った。