砂浜に坐り込んだ船

砂浜に坐り込んだ船

砂浜に坐りこんだ船 ****

札幌近郊の海岸で、砂に坐り込んだような姿で坐礁した大きな貨物船。その写真を眺めていると、死んだ友人が語りかけてくる。遊び上手の粋な男で、古い家に母と二人で暮らしていた。老母を喪ってからその死までの、案じながら踏み込めなかった友人の晩年に耳を傾け、自身のあてどなさをあぶりだす表題作など、生者の同伴者としての死者を描いて、人生の底知れなさに触れる全8篇。