光のない海

光のない海

光のない海 白石一文 ****

――社長、僕は一体いつまであの会社に縛られ続けるのですか? 建材会社の社長・高梨修一郎は、取引先の紛飾決算による経営危機に翻弄され、事態の収拾を図ると共に引退を考えはじめる。彼の脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶。先代の女社長と彼の間には、誰にも言えない愛憎関係があった―。個人と社会の狭間にある「孤独」を緻密に描き出す、傑作長編。