初夏の色

初夏の色

初夏の色 橋本治 ****

同棲して2年になるふたりの震災後の日々―「助けて」。「お前には、迷惑をかけたな」といって91歳で父が逝き、葬儀の翌日、震災は起こった―「父」。被災地の酪農一家の、言葉少なに互いを思いやる姿―「団欒」。「その後」を生きる、家族の肖像―。大地震を経た日本人をつぶさに見つめ、『巡礼』の先にあるひそやかな希望を描きだそうとする六つの短篇小説。