幻影の星

幻影の星

幻影の星 白石一文 ****

「人もモノも自然も全部イリュージョンなんじゃないかな」――東京で酒造メーカーに勤める熊沢武夫は、時折そんなことを呟く年上の「堀江さん」と付き合っている。ある朝武夫は郷里の母からの電話で起こされ、自分のレインコートが地元のバス停に置き忘れられていたことを知らされる。しかし同じレインコートは自宅にもあり……なぜ同じものが2つあるのか? これは「幻影」の顕れ? 作中で生と死の本当の意味をさまざまに問う、震災後にしか書き得ない物語。(YS)