幸福な生活

幸福な生活

幸福な生活 百田尚樹
「道子さんを殺したのは、私なのよ――」

認知症が進んでから母はよく喋るようになった。
しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。
施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。
久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。
40年ぶりに手にした懐かしい人形。だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……(「母の記憶」より)。サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、そのすべての最後の1行が衝撃的な台詞になっているという凝った構成。
『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。星新一阿刀田高筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!

ラストの一言がまさにどんでん返し。怖いような、おもしろいような。