わたしたちはまだ、その場所を知らない

わたしたちはまだ、その場所を知らない

 わたしたちはまだ、その場所を知らない 小池昌代 ****

学校には、日の当たらない場所がある。詩に惹かれる女子生徒と女性教師の、とり残された風景での交わり。どこにもまだない場所の、希望を微かに感じさせる明るさを描く長編小説。

中原中也の詩はわたしも中学生の頃好きだった。詩が好きだなんてなんとなく恥ずかしくてあまり公言できなかったが。詩に憧れるのだが、詩が書けない女子生徒のもどかしさもよくわかる。女子生徒と対照的に独自の詩を書き(でもうまくない)しかも堂々と朗読する男の子がよかった。このふたりの初々しい友情がいつまでも続きますようにと願った。