薄暮

薄暮

薄暮 篠田節子 ***

亡き画家は、夫である以前に彼女にとっての神なのかもしれない。田園を美しく輝かせる一瞬の光が、雪国に厳しい冬の訪れを告げる―。封印されていた一枚の絵が脚光を浴びた時、「閉じられた天才画家」は妻の元を離れ、郷土の人々の欲望と疑心がうごめき始める。著者の新境地を示す傑作長編。

亡き天才画家の妻の狂気じみた思考回路が怖ろしかった。画家の絵に魅了されていく人々の心の動きの描写が見事。